「ライフ・イズ・ベジタブル―オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント」

photo credit: Darwin Bell via photo pin cc
意外だったのは、オイシックスは、おいしい野菜を売る手段としてネット通販を選んだのではなく、インターネットを使って何かをするということが最初にあり、その後、野菜を扱うといことになったというのです。
これからは、「ネットの時代」という判断は分かるのですが、野菜のような生鮮食品は、自然に左右されてコントロールが難しそう。扱う商品をよく、「野菜」にしたと思います。(今は、野菜以外のいろいろな加工品も扱っているそうです)
しかも、起業当時のメンバー全員が20代独身男子で、特別グルメな人もいなければ、自分で料理をする人すらいなかったというのです。
起業というと、持っている強みを生かしていくイメージがあるのですが、そうではなく、全く土地勘のないところでの勝負です。
それでも、ここまで会社を大きくしてきたのですから、さすがです。
土地勘や先入観がないことで、かえって良かった面があるようでした。
その秘訣ともいえるのは、マッキンゼー出身の著者のピンチを楽しむという姿勢。
商品を売ってくれる農家の開拓や資金繰りに苦しむ著者は、こう言っています。
ベンチャーの立ち上げは問題だらけだ。
起業は問題でできているともいってよいくらい。
振りかかる問題は選べないが、問題を解く態度は選べるといいます。
資金繰りに苦しんでいた著者は、つらいだけで何も生み出さないだけでは、時間の無駄遣いと考え、生活から「落ち込む」時間をカットする決心をします。
資金繰りに奔走していることを社員に知らしても意味がないと考え、社員に対しては、「大丈夫大丈夫」と大きく構えます。
センターの移転など、数々の問題に際しては、ピンチを100%楽しむ方法を生み出します。大きなトラブルが発生するたびにテーマソングを決めたといいます。”トラブルを楽しく解決”するスタイルを作ったのです。
起きている時間のうち、夢中になっている時間の率、すなわり「夢中時間率」を最大にする生き方を意識しているという著者の姿勢の結果が、会社の成長につながったのだと思います。
やんちゃな若者たちが、数々の問題に立ち向かい解決し、成長し、事業を拡大していくストーリーは、つい感情移入してしまいます。
そして、オイシックスという会社の「作り手が自分の子どもに食べさせられる安心でおいしい食品」を取り扱い、さらにプラスアルファの喜びや驚きを大切にするというの姿勢には、家庭の食を守る主婦としては、惹きつけられるものがあります。
生産者や会社の顔が見えることが、大きな安心につながります。
本に出てくる野菜、「生で食べられるトウモロコシ」とか「ピーチかぶ」とか「トロなす」食べてみたい!と、思わず、お試しセットをオーダーしてしまいました。
ベンチャー企業に興味のある方、リーダーの方、必読の書です。
マッキンゼーといえば、こちらも気になる。

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