フォーリン・アフェアーズ リポートとは、第一次世界大戦後の1921年にウォール・ストリートの財界人、ニューヨークの弁護士が中心になって組織された非営利の外交シンクタンク、米外交問題評議会(CFR)が発行する外交専門誌です。
フォーリン・アフェアーズ リポート
世界的な影響力をもつグローバルな政治経済誌で、世界各国の政府が定期購読しているほか、ジョージ・ソロスなどの米財界エリート、研究者、政策決定者を読者層とするとのことです。政府が定期購読って、すごいですね。
また、日本人の論文寄稿者には野村吉三郎、吉田茂、高木八尺、大来佐武郎、細川護煕、中曽根康弘という顔触れです。
シンクタンクの機関誌というよりも、良質な国際思想のための開かれたフォーラムとして機能している。読者と執筆者の知識、経験が拮抗していることによる独特の緊張感をもつ雑誌で、論文で提言された政策がそのまま現実になることも多いという影響力があるそうです。
あまり目にすることがないと思いますが、私は、一度、丸善の洋書雑誌コーナーで見かけたことがありました。洋書じゃないのに何故?と思いましたが、外交に関係する方が手に取りやすいように洋書コーナーにあったのですね。
サイトには、アーカイブ、(論文検索)コーナーや、立ち読みコーナー(公開論文)があり、親切です。
9月10日号のコンテンツは、以下の通りです。
<特集1 準備通貨・ドルの衰退か?>
CFRレポート
2009年秋、ドルは準備通貨の地位を失いかけた―― 世界はドルを見捨て始めたのか?
ギリシャ危機とユーロの将来
――ギリシャ危機はユーロ衰退の始まりか?
脅かされる基軸準備通貨、ドルのジレンマ
―― ユーロ、SDR、人民元の台頭
民族と腐敗で引き裂かれた国家
―― ケニアの国家統合への長い道のり
「アフガンにおける成功」の定義は何か
―― このままではアフガン国家は分裂へと向かう
HIV・エイズ対策優先か、 他の援助との バランスをとるか、それが問題だ
世界的水資源不足の時代へ
CFRブリーフィング
食糧・穀物供給危機の再来か―異常気象と穀物市場の行方
CFRインタビュー
対イラン制裁ではウラン濃縮を 阻止できない理由
CFRインタビュー
平壌という北朝鮮民衆の悪夢
<特集2 緊張高まる中東情勢>
レバノン情勢を左右するキープレイヤーたちの思惑はどこに
CFRメモランダム
第3次イスラエル・レバノン戦争か?
―― ヒズボラの軍備増強に危機感を強めるイスラエル
Classic Selection 2006
CFRブリーフィング
多文化国家レバノンにおける 軍隊の複雑な歴史
―レバノン軍の南部掌握で国の一体性が生まれるか?
主婦的目線で興味があるものをピックアップしてみました。
「世界的水資源不足の時代へ」ペットボトル飲料水は何を意味するのか
ジェームズ・E・ニッカム
数多くの湖や川が消滅しつつたり、現存する川や湖についても水質が悪化している、地下水資源も濫用や汚染のリスクにさらされているといいます。世界の川の多くは国境を越えた国際河川であるため、水資源の管理に派生する問題が国際的緊張を作り出すことがあります。実際にコロラド川をめぐってためアメリカとメキシコが対立、ガンジス川とプラマプトラ川をめぐってバングラデシュが、というように、各地で対立が起っているといいます。
水資源の問題は純然たる水の問題であることはほとんどなく、その他の」問題に密接に関連しているそうです。水資源の需要を高めているのは、新興国における人口の増大とライフスタイルの変化があります。より多くの牛肉と乳製品を嗜好するようになることで、これらの製品が他の食料生産以上に水を消費するといいます。
アメリカでは、水1リットルのほうが、同量の石油よりも価値があり、より高値で売られているといいます。ちょっと違和感がありますね。
日本は水道水の質が正解でもっとも高く使用できる水量も年間1人当たり3383㎥。これほど水資源に恵まれた国が、年間に一人が使用できる水がわずか58㎥のアラブ首長国連邦からペットボトル飲料を輸入しているといいます。日本でそんなペットボトルが出回っているのは、グローバル貿易の不思議といえるでしょう。
ペットボトル飲料水に賛成するか反対するかの判断は、たんなる環境や経済を越えた、さまざまなアジェンダを以下に捉えているかが関ってくるといいます。「深層心理における(水資源への)認識、心理的・イデオロギー的な嗜好、市民の権利VS商品をめぐる社会的立場、人権の一部としての水資源のあ屈す保証への立場、市場経済、政府の適切な役割、そして量来に関する相反するビジョン」のどちらを辞しするかで変わってくるといいます。私自身、ペットボトルの水を買うことに抵抗がある時期があったと思うのですが、それが薄れていることに水資源に対する認識が変化していることを認識しました。
興味深いのは、下水について、「下水は廃棄物と扱われるからこそ廃棄物とみなされる」が実際には、資源とみなすこともできるといいます。カルフォルニアで、地熱発電に処理済の下水が用いられている、日本の処理下水をオーストラリアの鉱山事業にタンカーで送るということも予定されているそうです。下水を輸出するというのには、驚きました。シンガポールでは、下水を完全に浄化し、ハイテク産業に利用しているそうです。
水の問題が、あるときは現象として、またあるときはその原因としてグローバル化、人口動態、統治、エネルギー、公衆衛生、女性や子供の役割、環境などの他の問題を分かち難く結びついているといいます。そこまで考えたことはなかったです。これから、ペットボトルの水を飲む時、考えてしまいそうです。
水資源の記事は比較的柔らかめの記事でしたが、メインの特集は準備通貨危機、特集2は中東情勢と外交のトレンドを抑えた構成になっています。
フォーリン・アフェアーズ リポートは、定期購読雑誌ですが、現在、新規講読キャンペーン(Web限定) をやっているようです。(期間:2010年9月21日〜10月3日)この雑誌を定期購読するってカッコイイですよね。
普段、自分では手に取ることがなかった雑誌をご提供いただき、レビュープラスさんのおかげです。ありがとうございます!
これまで、レビュープラスさんでは、こんな本を提供いただきました。いつも興味深い本をご提供いただいています。書評に興味のある方は、登録されてはいかがでしょうか?
・【R+】Mac People 2010年 09月号 電子書籍元年!モバイルWi-fi、iPhone4と盛りだくさん。
・【R+】『つぶやき進化論』 ソーシャルノミクスの生き方
・【R+】『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』を読みました
・【R+】Mac People 右脳を刺激し、指先で情報データを操るiPad
・【R+】『クーリエ ジャポン』 日本の近未来?貧困大国アメリカの現実
・【R+】『世界の鉄道 絶景の旅』ママ鉄の夢が広がります
・【R+】『BBT on DVD 大前研一ライブ』大前節を宅配DVDで?
・【R+】大前研一「パスファインダー」道なき道を切り拓く先駆者たれ!!
・【R+】Wanna!付録の手帳が予想外にいい!